【会社員エンジニア向け】独立・副業で「どう稼ぐか」:プロダクト開発、受託開発、それぞれのメリット・デメリットと選び方
現在の働き方に疑問を感じ、独立や副業といった新たな選択肢を検討し始めている会社員エンジニアの方にとって、「自分の技術スキルをどのように活かして収入を得るか」は大きな関心事の一つではないでしょうか。これまで培ってきた開発経験や知識を、会社という枠を超えて収益につなげる方法はいくつか存在します。その中でも、エンジニアの「稼ぎ方」として代表的なものが、「プロダクト開発」と「受託開発」です。
しかし、この二つの働き方にはそれぞれ異なる特性があり、どちらが自分に合っているのか、あるいはどのように組み合わせるのが良いのか、迷うことも少なくありません。この記事では、プロダクト開発と受託開発それぞれの特徴、メリット・デメリット、そしてご自身の状況に合わせて最適な選択をするためのヒントを具体的に解説します。
独立・副業エンジニアの主な「稼ぎ方」:プロダクト開発と受託開発
会社員エンジニアが独立したり、副業として技術を提供したりする場合、大きく分けて二つの収益化モデルが考えられます。
- プロダクト開発: 自身のアイデアに基づき、オリジナルのサービスやツールなどを開発し、それをユーザーに提供することで収益を得るモデルです。BtoC(個人向け)サービス、BtoB(企業向け)ツール、開発者向けのライブラリやフレームワーク、教育コンテンツなども含まれます。
- 受託開発: クライアントから依頼を受け、その要件に基づいてシステムやアプリケーションなどを開発・納品することで報酬を得るモデルです。特定の機能実装、システム改修、新規サービスの開発など、クライアントのビジネス課題を技術で解決することが目的となります。
どちらもエンジニアとしての技術スキルが基盤となりますが、求められるスキルや収益の性質、働き方には違いがあります。
プロダクト開発で稼ぐ:自身のアイデアを形にする魅力
プロダクト開発は、自身の創造性や問題意識を直接収益につなげられる魅力的な選択肢です。
メリット
- 大きなリターンが得られる可能性: 開発したプロダクトが多くのユーザーに受け入れられた場合、労働時間に比例しない大きな収益(ストック型収益)を得られる可能性があります。スケールするビジネスを目指しやすい形と言えます。
- 自身の情熱を形にできる: 自分が「作りたい」と思ったもの、世の中の課題を解決したいと思ったものを自由に開発できます。仕事そのものへのモチベーションを高く維持しやすいでしょう。
- 時間や場所に縛られにくい: 開発・運用フェーズに入れば、比較的自身のペースで作業を進めやすく、場所にとらわれずに働くことも可能です。
- 自身のブランドを築きやすい: 成功したプロダクトは、自身のエンジニアとしての実績やブランドになります。
デメリット
- 収益化まで時間がかかる・リスクが高い: アイデアを形にするには時間と労力がかかり、ユーザーに受け入れられて収益が発生するまでにはさらに時間がかかる、あるいは収益化できないリスクも存在します。
- 開発以外のスキルが必要: 企画、デザイン、マーケティング、ユーザーサポート、法務など、開発以外の幅広い知識やスキルが求められます。
- 常に改善・運用が必要: リリースして終わりではなく、ユーザーからのフィードバックを受けながら改善を続けたり、システムの運用・保守を行ったりする必要があります。
- 初期投資や開発コスト: 規模によってはサーバー費用や外部ツール利用費などの初期投資が必要になる場合があります。
プロダクト開発が向いている可能性のある人
- 強いアイデアや解決したい課題を持っている
- リスクを理解し、受け入れる覚悟がある
- 開発だけでなく、事業全体を企画・推進することに興味がある
- 長期的な視点で取り組む根気がある
- 多様な役割(企画、開発、マーケティングなど)を担うことに抵抗がない
受託開発で稼ぐ:確実な対価を得る安定感
受託開発は、クライアントのニーズに応えることで、比較的短期間で安定した収入を得やすい選択肢です。
メリット
- 比較的安定した収入: 契約ごとに報酬が明確に決まっているため、開発期間に応じた収入の見通しを立てやすいです。特にフリーランス初期など、実績がない段階でも案件を獲得しやすい場合があります。
- 初期投資が少ない: 自身のPCと開発環境があれば始められることが多く、プロダクト開発に比べて初期費用は抑えられます。
- 多様な技術や業界に触れる機会: 様々なクライアントの案件に携わることで、幅広い技術スタックや異なる業界の知識・ビジネスモデルに触れることができます。
- 開発スキルが主な収益源になる: エンジニアとしての開発スキルそのものが主な価値となるため、技術力を直接収益につなげやすいです。
デメリット
- クライアントワーク特有の制約: 仕様変更への対応、厳しい納期、コミュニケーションの難しさなど、クライアントワークならではの苦労が発生することがあります。
- 単価の上限がある程度決まっている: 基本的に労働時間や成果物に対して報酬が支払われるフロー型収益のため、プロダクト開発のようなスケールによる爆発的な収益増は見込みにくいです。
- 自身の情熱と仕事内容が一致しない場合も: クライアントの要望に応えることが最優先のため、自身の技術的な興味や関心と仕事内容が必ずしも一致しないこともあります。
- 技術スタックがクライアントに依存する: 案件によって使用する技術が異なり、自身の得意な技術を選べない場合や、古い技術に触れる機会が多くなる可能性もあります。
受託開発が向いている可能性のある人
- クライアントの課題を技術で解決することにやりがいを感じる
- 仕様に沿って、確実かつ高品質な開発を行うことが得意
- コミュニケーション能力や折衝能力に自信がある
- 比較的安定した収入を早期に確保したい
- 様々なプロジェクトや技術に触れて経験を積みたい
どちらを選ぶか?自分に合った「稼ぎ方」を見つける
プロダクト開発と受託開発、どちらにも魅力と難しさがあります。どちらか一方を選ぶ必要はなく、ご自身の状況や目指すゴールに合わせて柔軟に考えることが重要です。
1. 自己分析を行う
- スキルセット: 開発スキルはもちろん、企画、デザイン、マーケティング、営業、コミュニケーションなど、どのようなスキルが得意ですか?苦手なスキルはありますか?
- 経験: これまでどのような開発経験を積んできましたか?特定の業界知識や業務知識はありますか?プロジェクトマネジメントの経験は?
- 興味・関心: どのような技術に関心がありますか?解決したい社会課題や、開発してみたいプロダクトのアイデアはありますか?クライアントの課題解決に興味がありますか?
- リスク許容度: 収益が不安定でも、大きなリターンを目指したいですか?それとも、多少収益は抑えられても安定性を重視しますか?
- キャリアプラン: 短期的に収入を安定させたいですか?それとも、長期的に独自のサービスを育てていきたいですか?
2. 組み合わせる「ハイブリッド型」も検討する
独立・副業の初期段階では、受託開発で安定した収入を確保しつつ、その資金や時間を活用して自身のプロダクト開発を進める「ハイブリッド型」も現実的な選択肢です。これにより、リスクを抑えながらプロダクト開発の夢を追求できます。
3. 小さく始めてみる
いきなり大きな決断をするのではなく、まずは副業として小さく始めてみることをおすすめします。
- 受託開発の副業: クラウドソーシングサイトや副業マッチングプラットフォームなどを活用して、小規模な開発案件や技術支援案件を受けてみる。
- プロダクト開発の副業: MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)として、アイデアの一部を形にしてみる。ニッチな課題を解決するツールや、趣味の延長で開発できるものから始めてみるのも良いでしょう。
実際に体験することで、向き・不向きや、それぞれの働き方の現実を肌で感じることができます。
会社員経験を活かす
会社員エンジニアとして培った経験は、プロダクト開発、受託開発のどちらにおいても大きな強みとなります。 受託開発においては、社内での開発経験、コミュニケーション能力、プロジェクト推進力、特定の業界知識などがクライアントからの信頼獲得につながります。 プロダクト開発においては、社内での課題発見の経験、ユーザーニーズの理解、チームでの開発経験、運用保守の知見などがプロダクトの質を高める上で役立ちます。
まとめ
独立や副業を考えるエンジニアにとって、プロダクト開発と受託開発は、技術スキルを収益に変える主要な選択肢です。
- プロダクト開発: 自身のアイデアで大きなリターンを目指せるが、時間とリスクが伴う。
- 受託開発: クライアントワークで安定収入を得やすいが、単価に上限がありフロー型収益となる。
どちらが良い、悪いということではなく、ご自身のスキル、経験、興味、リスク許容度、そして目指すキャリアに合わせて、最適な選択をすることが重要です。迷う場合は、まずはリスクの少ない副業から始めて、プロダクト開発と受託開発の両方を試してみることも有効です。
会社員として培った経験を土台に、多様な「稼ぎ方」の選択肢を検討し、ご自身にとって最もフィットする道を一歩ずつ見つけていきましょう。